交尾を試みる女王と王のペア

ヤマトシロアリの女王と王は、結婚飛行後に4枚の翅を落としてペアを作る。
その際、新女王は尾端を上げながら新王を誘引するフェロモンを分泌するのだ。
新王は新女王を見付けると、新女王の尾端に頭をつけるようにして歩き回る。
一見して2両編成の電車のようである。
ペアは朽ち木の下などに共同で巣穴を掘って潜り込み小部屋の中で交尾するのだ。
ヤマトシロアリの交尾は王が女王の上にのしかかるようなことはなく、尾端同士を
バックしながら あたかも列車が連結するように行われる。
この交尾様式は、狭い空間で生活する種類ならではのものなのだろうか?

ヤマトシロアリは女王と王を頂点とする階級社会を構成し、全階級で雄と雌がいる
女王:雌の生殖虫で結婚飛行により現れ産卵に専念し、腹部が多少肥大する    
:雄の生殖虫で結婚飛行により現れ、ひたすら女王と交尾を繰り返すタフな奴
副生殖虫:女王や王が欠けたときに複数生じ、副女王、副王と言えるものだが能力は劣るようだ
ニンフ:結婚飛行で飛び立つ新女王、新王(いわゆる羽アリ)になる1歩手前の階級   
兵蟻:コロニーを外敵から守る役割をもつ階級で、一定の割合で生ずる        
前兵蟻:兵蟻の1歩手前の階級で偽職蟻よりやや大きい(細長い)か?           
偽職蟻:いわゆる職蟻(働きアリ)で、他の階級に分化する潜在能力がある         
幼虫:いわゆる仔虫のことで、卵から羽化した直後から成体と同じような形をしている 



ヤマトシロアリの飼育は比較的やさしい。
ガラス容器中に湿らせた紙や木片を入れてコロニーの一部を移せばよい。
女王や王がいなくても偽職蟻から副生殖虫が生じてくる。
乾燥させなければコロニーの維持は容易である。
Isoptera 等翅目 (シロアリ目)
Rhinotermitidae ミゾガシラシロアリ科
ヤマトシロアリ属
Reticulitermes speratus Kolbe
Japanese subterranean termite
Narita city, Japan
Sep. 28, 1979
9 ヤマトシロアリ
成田市 飼育
女王、王、副生殖虫、ニンフ
偽職蟻、兵蟻、幼虫、卵

Queen, King 生殖虫

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