|
フラボンの山野草と高山植物の世界 == 山野草の栽培方法 == by フラボン
ホトトギス類の育て方
1 はじめに
ホトトギス類はユリ科ホトトギス属( Tricyrtis ) の多年草で、黄色、白色、紫色又は紫赤色等の花を咲かせる魅力あふれる山野草です。
この仲間は日本全国の主として樹林下に自生が見られ、多くの変化に富んだ種類があります。
最近では実生や挿木などで増殖したものが売られるようになり、比較的安価で多くの種類を購入できるようになっています。
ホトトギス類は日陰を好み栽培も優しいものですから、狭い敷地を持つ人を含めた入門者向きの山野草といえるでしょう。
2 ホトトギスの仲間
国内に自生する種類として次のようなものがあります。
ホトトギス、ヤマホトトギス、ヤマジノホトトギス、キバナノホトトギス、キバナノツキヌキホトトギス、タカクマホトトギス
タマガワホトトギス、チャボホトトギス、ジョウロウホトトギス、タイワンホトトギス
ホトトギスの仲間は海外でも注目されており、多くの種類の種子が欲しがられています。
3 ホトトギス類の栽培
◎ 置き場(栽培する場所)
ホトトギス類を栽培するための適当な置き場は、空中湿度を保持できる半日陰の場所が最適です。
5月上旬までは良く日に当てますが、それ以後の直射日光は有害です。
できれば水のしたたる岩の陰や流れの縁に植えたいところです。
鉢植えの場合、真冬はできるだけ凍ることがないよう霜よけ下に置く必要があります。
◎ 植木鉢
植木鉢は乾燥しにくいものを選びます。
5号(直径15cm)以上の大きさの深めの山草鉢などの他、株の大きさに合わせて選びましょう。
◎ 培養土
水はけと水保ちを共に要求しますので、桐生砂、富士砂、赤玉土、軽石砂などの多孔質の砂を何種類かと腐葉土を混合して使用する人が多いようです。
ミズゴケのみを使用する場合もあります。
◎ 植え替え
ホトトギス類は1〜2年に1度、早春に植え替えるのが適当です。
植え替えは鉢を逆さまにして抜き、古い用土と枯れた根やを全て落とし、白い健全な根を持つものを全く新しい用土で植え直します。
植え替え直後に十分灌水し、以後周年水切れに注意します。
◎ 水やり
「水やり3年」とよく言われますが、ホトトギス類の栽培では失敗が少ないかもしれません。
ただし、心配のあまり水をかけすぎて根腐れさせてしまったり、長年植え替えずに根詰まりさせてしまえば枯れてしまいます。
春から秋までは1日1回、冬の休眠期でも2〜3日に1回程度の水やりでよいでしょう。
◎ 殖やし方
ホトトギス類の増やし方は植え替え時の株分けと実生により行います。
株分けは増えた芽と根を手で優しく引っ張って分ければよく、もっとも手頃な方法です。
種子の採取は簡単です。
花後花茎に着いた実が黄色く色づいてきたら摘み取って、日陰で風乾後薄い褐色の薄皮に包まれた細かな種子を取り出します。
種子は採取後すぐにまきましょう。
種子は普通の用土にまいて、5mmほど覆土後十分水を与えます。
は種後は水を切らさないように管理すれば、翌春には発芽してきます。
発芽後は、生育に伴い植え替えをしていけば秋には開花し始めるでしょう。
ただし、ホトトギス類は雑種ができやすい性質があるため、実生からの苗はどのような性質のものかは分かりません。
実生では親より優れたものや、変わったものが生ずることもあります。
4 ホトトギス類の入手方法
ホトトギス類の入手方法には次のような方法があります(他の山野草と同じ)。
(1) 山野草の専門店を訪れて、自分の目で確かめて購入する。
(2) 専門店のカタログを取り寄せ、通信販売で購入する。
(3) 各地の秋の展示会を見て歩き、即売品があればそれを自分の目で確かめて購入する。
(4) 地元のデパートやホームセンターなどに売り出されていたら購入する。
(5) 各地の同好会に入会し、こまめに例会に出席して頒布品を購入したり友人を作って分けてもらう。
自分の好みのものを少しずつ集めていきましょう。
5 鑑賞方法
ホトトギス類はその草姿や花を鑑賞の対象とします。
渋い鉢や腰高の鉢に植え付け、床の間やテーブルの上に飾ってもよいのですが、庭の木陰や池の縁に植えて自然的な美しさを楽しむこともできます。
この仲間にはジョウロウホトトギスのように茎が垂れ下がる種類や、チャボホトトギスのように丈が低く地際で咲く種類もあるため、鑑賞目的に合わせて種類や品種を選ぶなど適切な方法で作りこんでいく必要があるでしょう。
それにより茶席や生け花で歓迎されるような鑑賞価値の高い作品に仕上がっていくわけです。
あなたも挑戦してみたらいかがでしょうか。 
参考図 ホトトギスの越冬芽
植え替えのときはこの芽をいためないように注意深く扱って下さい。 |
|
|