フラボンの山野草と高山植物の世界 
== 山野草の栽培方法 ==  by フラボン
サギソウの育て方
                                           
1 はじめに
 サギソウ Habenaria radiataラン科の多年生草本で、湿原などの湿地に自生しています。
 自生地では8月を中心にして、白色のサギが飛翔するような形をした花を茎頂に数輪咲かせます。

 最近ではホームセンターなどで斑入り品種などが安価に売られるようになってきました。
 サギソウは水切れさせないかぎり栽培が楽で、よく殖えますので、山野草栽培の入門種と言えるでしょう。
 
2 品種
 斑入り
  銀河、彗星(白覆輪)、銀王星(白覆輪・散り斑縞)、ひかり、金星、かがやき(黄覆輪)
  あかつき(黄中斑)、みもすそ(三光中斑)、天の川(縞斑)、根岸の月(散り斑系中斑)

 変わり花

  飛翔(三蝶咲き)、おぼろ月(奇形花)

その他:南方系の近縁種があります。
 
2 栽培
◎ 置き場(栽培する場所)
 置き場は、春〜秋には風通しが良く、終日よく日の当たる棚の上などがよいでしょう。
 ただし、開花中は西日を避けたほうが花が長持ちします。

 冬は棚下などの寒風が当たらず、温度変化の少ない場所で乾燥させないように管理します。 


◎ 植木鉢
 とにかく乾きにくいものがよく、植え付ける球根の数に応じて大きさを選んでください。
 10球程度でしたら4号(直径12cm)〜5号程度の大きさの中深鉢、それ以上でしたら浅鉢に植えてもよいでしょう。

 あまり小さい鉢では乾きやすく、うまく栽培できない場合があります。


◎ 培養土
 サギソウは水分を好みますので、一般的にはミズゴケ単用とします。
 そのほか、一般の山野草の用土でも栽培できますが、水管理に注意が必要です。

◎ 植え付け
 サギソウは地下のランナーの先端に大豆大の球根を形成して増殖し、それ以外は冬季枯死してしまいます。
 そこで、2月〜3月(彼岸まで)に鉢底にある新球を取り出して、新しいミズゴケで植え付けます。

 植え付け後は忘れずにたっぷりと灌水してから棚に出してください。


◎ 水やり
 サギソウは水が大好きで、水のやりすぎで枯らすことはありません。
 乾きやすい場所では腰水が必要です。冬の休眠期でも、水切れさせないように注意しましょう。

◎ 施肥
 無肥料でも栽培できますが、ある程度の増殖と花着きを期待するならば、多少の施肥が必要となります。
 花後に新球が膨らんできますので、8月に3回ほど標準濃度の液肥を与えるとよいでしょう。

 濃すぎるものを与えると、根腐れを起こしたり、花数が多くなりすぎて趣が損なわれる場合がありますので注意してください。


◎ 殖やし方
 サギソウは主に球根で増殖し、上手に栽培できれば、1年で2〜3倍になります。
 種子繁殖は特殊な施設がなければ困難です。
 
3 入手方法
 サギソウの入手は容易です。
 山野草の専門店ばかりでなく、デパートやホームセンターなどでよく売られています。

 ただし、きわめて珍しいものは、山野草の同好会に入らなければ手に入らないでしょう。
 
4 鑑賞方法
 サギソウは同一の系統を群植させてその清楚で気品のある花姿や、斑の入った葉を鑑賞の対象とします。
 従って、平鉢が似合うのですが、一朝一夕には増えませんから、ポット植えの苗をいくつか買って寄せ植えにするか、2〜3年増殖してから挑戦してみましょう。