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質問42:ササユリの栽培と種子繁殖法について教えてください。 2000年6月受付


ササユリ Lilium japonicum は、本州(新潟、長野、山梨、静岡以西)、四国、九州(宮崎)に分布するユリ科球根植物で、6〜7月に薄いピンク色の花が開きます。

本種は東面の傾斜地の草原や明るい疎林下の腐植質に富んだ場所を好みます。
従って、栽培する場合は明るい日陰(できれば傾斜地や庭木の下)がよいでしょう。

栽培の要点は次のとおりです。

1 球根の定植・植え替えは10月に行う。
2 球根を植え付ける深さは、球根の高さの3倍程度とする。

3 複数の球根を寄せ植えする場合は、3球分程度の間隔をあける。
  鉢植えの場合は4寸鉢で1球、4寸5分鉢で2球、5寸鉢で3球....が目安。

4 鉢植えの場合の用土は赤玉土などの土に腐葉土を3〜4割混合したものがよい。
  植え付け後は十分な灌水を忘れずに行う。

5 鉢植えの管理は置き場所が重要です。
  通風のよい場所に置き、表面がやや乾いたらたっぷり灌水する。 

6 植え替えは、地植では前年より生育が悪くなった場合に行い、鉢植えでは毎年行う。

7 施肥は庭植の場合3月、開花開始時、10月の3回、化成肥料(NPK15-15-15など)を1株当たり小さじ1杯程度をばらまけば十分です。
  鉢植えの場合は10月の植え替え時に4号鉢で2g程度の元肥を与え、追肥として2月、4月、6月、8月に油粕の置肥を与えるか2〜9月の毎月標準濃度の液肥を与える。


ササユリの実生は首の長い人に向いています(なんのこっちゃ?)。
本種はふつうの草花と異なる以下のような発芽様式を有しています。

1 秋に播種後、種子は翌年夏の高温期を経過しないと発芽しない。
2 発芽は地下で極小の球根を形成するだけで、地上に展葉しない。

3 地下で形成された球根は冬の低温期を経過しないと地上発芽しない(上子葉休眠)。

つまり、秋に播種して地上に展葉してくるまで足かけ3年、正味1年半かかるんですよ。
しかし、実生繁殖ではウイルス病がなくなりますので、良い株が得られます。

実生繁殖の要点は以下のとおりです。

1 採種
 通常10〜11月に果実が成熟し黄変してきます。

 そのまま放置すると先端から裂開して種子が飛散(悲惨!!)してしまいますので、裂開する前に採種して網袋や飛散のおそれのない容器内で風乾します。

 風通しが悪いとカビが生じますので注意しましょう。

2 播種
 種子は細かめの赤玉土などの用土に採り播きとします。覆土は1p程度とし、絶対に乾燥させないように管理してください。

3 施肥
 播種翌年の10月から1%程度の砂糖を混ぜた標準濃度より2倍以上薄めた液肥を御神酒と思ってあげましょう。
 だまされた頃(春)に「ぴょろりん」と第一本葉が出てきますよ。

4 展葉後の生育
 地上発芽した年は1〜数枚の根生葉を出すだけで地上茎は出しませんが、前記の御神酒(液肥)を9月まで毎月あげましょう。
 10月には通常の用土に植え替えましょう。

翌年以後に地上茎を出すようになりますので、これ以後は通常の管理とします。