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        | << フラボンの山野草質問箱>> 
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 質問45:コマクサの栽培方法について 2000年7月受付
 
 
 コマクサ Dicentra peregrinaは本州中部以北、北海道をはじめとする東北アジアの高山帯の岩礫地に分布するケシ科 Papaveraceaeの多年草です。
 
 本種は7〜8月にパセリのような葉の間から伸びた10p前後の茎上に可憐なピンク〜赤色の花を数輪咲かせます。
 鑑賞価値は高く「高山植物の女王」として自生地では厳重に保護されています。
 
 かつては薬草の材料として乱獲され、絶滅に瀕したこともありました。
 現在では寒冷地での実生増殖技術が確立されており、様々な選抜品種や海外から導入された近縁種との交配種などが大量にに販売されるようになりました。
 
 コマクサの近縁種にはケマンソウ(Dicentra spectabilis 別名タイツリソウ)など鑑賞価値が高く栽培容易なものがあります。
 しかし、コマクサは暖地での栽培はいまだに困難で、相当の経験を積んだベテランでないと継続した開花は望めません。
 
 しかしながら、寒冷地では市販されている実生苗を用いた栽培が十分可能です。
 
 その要点は以下のとおりです。
 
 1 植え付け適期:9月中旬〜10月中旬、2月中旬〜3月中旬
 2 用土:水はけの良い火山礫(富士砂、軽石砂、硬質鹿沼など)
 
 3 鉢:できれば抗火石鉢か断熱鉢などの温度変化の少ないもの
 4 管理:
 
 生育期は全日照下で通風の良い場所に置く。
 休眠期は寒(乾)風に当てない。
 
 展葉期はたっぷりと灌水し、展葉後は表土が乾いたら灌水する。
 春と秋に薄目の液肥を回数多く与えると良い。
 
 5 増殖:
 
 実生がおすすめ。果実は花と共に落ちます。
 種子がとれたら親株と同様の用土に採り播きする。
 
 発芽は翌春〜2年後の春くらいまで少しずつ行われる。
 子葉は1枚ぺろっと出るだけなので、雑草と間違えて抜かないように注意が必要。
 
 発芽後は親株と同様の管理でよい。
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