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質問48:イワタバコの栽培法について


イワタバコ Conandron ramondioides は本州、四国、九州、沖縄、台湾、中国に分布するイワタバコ科 Gesneriaceae の着生性の多年草で、夏期に赤紫、白、桃色の花を開きます。

本種は耐寒性があります。
イワタバコは栽培が比較的容易で、日陰で育てる山野草の入門種としておすすめできます。

花色変わり、重弁花、斑入葉などの品種が知られています。
フラボンは南房総、奥多摩、秩父丘陵、北八ヶ岳などで観察しましたが、地域によってかなり変異があるようです。

栽培の具体的な方法は以下のとおりです。

1 基本的な性質
 イワタバコは日陰の湿潤な岩場や崖地にへばりつくように自生し、冬季は小さく縮こまった越冬芽を形成して落葉した状態で過ごします。
 直射日光と乾燥を極端に嫌う性質があります。

2 鉢栽培のコツ
 基本的には浅鉢に石をあしらうなどして植えつけます。

 植付け・植えかえは展葉前の3月〜4月初めにおこない、その際越冬芽を用土中に埋め込まないように注意します。
 用土は水持ちと排水性を併せ持つ桐生砂や軽石砂を中心に混合して用います。

 石などに着けたい場合には練ったケト土などで植え込みます。
 かん水は絶対に水切れさせないような注意が必要で、落葉期も乾燥は禁物です。

 空気中の湿度が必要なので置き場を工夫しましょう。
 置き場所は通年半日陰でよいでしょう。春と秋に多少肥培すると花付きがよくなります。

3 病害虫
 通常激しい被害をもたらす病害虫は発生しません。

4 増殖
 通常株分けと葉挿しで増殖しますが、実生による大量増殖も魅力です。

 葉挿しは初夏に葉柄ごと切った葉をミズゴケや通常の培養土に挿して行います。
 風などから保護してやると秋までには発根してきます。

 実生は取り播きがよいでしょう。種子が細かく厚播きしやすいので薄播きして乾燥させないように管理すると翌春発芽してきます。
 発芽後は薄い液費で肥培に努め、適宜移植を繰り返すとよく育ちます。