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質問51:トキソウヤマトキソウの栽培法について。  2000年12月 受付

トキソウ Pogonia japonica は日本全土、朝鮮半島、千島、中国の湿原に分布するラン科多年草で、5月〜6月に赤紫色(鴇色)の花を茎頂に通常1花開きます。

また、乾燥気味の山野にはヤマトキソウ Pogonia minor があり、日本全土、朝鮮半島、台湾に分布しています。
その他北米には Pogonia ophioglossoides が分布しています。いずれもやや耐寒性がありますが、冬季の強い凍結は禁物です。

栽培はトキソウとヤマトキソウでは異なります。各種の具体的な栽培方法は以下のとおりです。

<<トキソウ>>
1 基本的な性質
 トキソウは湿原に自生する湿生植物で、乾燥を極度に嫌う性質があります。

2 鉢栽培のコツ
 基本的には最初小さめの鉢にミズゴケで植え付け、翌年以後の植え替え時に鉢を大きくしていきます。
 植付け・植えかえは発芽前の2月中旬〜3月中旬におこないます。

 用土はミズゴケ単用とするか、水持ちと排水性を併せ持つ桐生砂などに軽石砂をやや混ぜたものなどがよいでしょう。
 かん水は絶対に水切れさせないように行い、落葉期も厳重な注意が必要(腰水が有効)です。

 置き場所は凍結期以外は全日照下とし、凍結期は温度変化の少ない凍らない場所で保護しましょう。
 経験者は花後と秋に置肥で肥培しますが、初心者の方は失敗しやすいので無肥料でもよいでしょう。

3 病害虫
 通常激しい被害をもたらす病害虫は発生しません。

4 増殖
 通常植え替え時の株分けで増殖しますが、実生も可能です。

<<ヤマトキソウ>>
1 基本的な性質
 ヤマトキソウは乾燥気味の山野に自生し、一般的な栽培とします。

2 鉢栽培のコツ
 やはり、基本的には最初小さめの鉢に植え付け、翌年以後の植え替え時に鉢を大きくしていきます。
 植付け・植えかえは発芽前の2月中旬〜3月中旬におこないます。

 用土は桐生砂などに当量の軽石砂を混ぜたものなど通常の山野草の用土でよいでしょう。
 かん水は鉢の表面が乾きかけたら、たっぷり与えてください。落葉期もかん水が必要です。

 置き場所は凍結期以外は全日照下とし、凍結期は温度変化の少ない凍らない場所で保護しましょう。
 経験者は花後と秋に置肥で肥培しますが、初心者の方は失敗しやすいので無肥料でもよいでしょう。

3 病害虫
 通常激しい被害をもたらす病害虫は発生しません。

4 増殖
 通常植え替え時の株分けで増殖しますが、経験者は実生も可能です。