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質問53:レモンの栽培法インドへの携帯について教えてください。 2001年2月1日受付


レモン Citrus limon はインドのヒマラヤ東部山麓原産のミカン科の常緑低木で、暖地では5月〜6月に白色の花を開き11月〜12月頃熟期となります。

本種は耐寒性に乏しく、気温が氷点下3度程度に下がるとで枯死してしまいます。
最低気温は10℃以上が理想で、適温が続けば一年中開花します。

栽培の具体的な方法は以下のとおりです。

1 基本的な性質
 世界各地の降雨量の少ない熱帯から暖温帯を中心に栽培されている高温と乾燥を好む果樹です。

2 鉢栽培のコツ
 経済栽培では接木苗を購入又は自前で調達して生産を始めますが、個人的な趣味栽培では種子から育てた苗でも十分に楽しめます。

 種子は果実を調理などに利用したときに取り出し、水洗・陰干後ポリ袋に密閉して冷蔵庫の野菜室に貯蔵します。
 播種適期は発芽後の高温が長く続く春の彼岸頃がよいでしょう。 

 播種用土は有機質を2〜3割混合した赤玉土や桐生砂などとし、播種後5〜10mm程度の覆土を行います。
 播種後は乾燥しないように注意すると、ほどなく発芽してきます。

 新葉が展開し始めたら肥培しましょう。
 通常の5〜10倍に薄めた液肥をかん水代わりに与えればよく育つでしょう。

 苗が大人の掌の幅くらいに伸びたら移植しましょう。
 レモンは1個の種子から数本の苗が伸び出してくることがありますが、この場合には、移植の際に丁寧にはずして別々に植えましょう。

置き場所は、霜のおそれがない期間は戸外の雨除け下がよく、降霜期は温室、フレーム、屋内などがよいでしょう。
かん水は注意が必要です。

一般的には開花期には少な目に与え、着果後の8月〜秋の彼岸前は多く与えます。
冬季は0℃以上の温度を保ち、かん水は少な目にします。

翌年以後、春の彼岸前後に植え替えを繰り返していくと忘れた頃に花芽が付くようになります(幹の直径が2p程度はほしい)。

3 病害虫
 カイガラムシやかいよう病などが発生することがあります。

 病害虫ではありませんが、幼若苗はトゲの発生が激しいのでこまめに切り除いておきましょう。
 あとで血を見ることになりかねませんよ(痛かったー!!ナシなども同じ注意が必要)。

4 国外への携帯(持ち出し:小規模の趣味的な場合に限る)
 まず持ち込み予定の政府の植物防疫当局に持ち込みの可否と条件を問い合わせすることが必要です。

 日本の農水省植物防疫所に問い合わせても教えてくれますが、出国時に相手国の法律が変わってしまった場合に対処できません。

一般に土壌と病害虫が付着している恐れのあるものは受け入れてくれません。
事前に土を全て落としてきれいに洗い、ミズゴケなどで植えて病害虫防除を徹底し、持ち出しの準備をすることが必要です。

相手国の事情によっては持ち込み禁止、ウイルスチェックのための隔離栽培などの措置を受けることがあります。
その場合は法に反しないことを条件に、当該国内で実生からやり直しましょう。
 
インドはレモンの原産地です。
日本からインド国内への個人的な持ち込み(携帯)は可能(2001年3月17日 横浜植物防疫所成田空港出張所回答)だとのことですが、土壌や病害虫の恐れがある場合は当然持ち込めません。

大規模な持ち込みを考えている場合には、別途輸出入関係の法規に基づく手続きが必要になるとのことですので付け加えます。