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質問64:ニオイスミレの栽培法について教えてください。


ニオイスミレ Viola odorata は地中海沿岸に分布するスミレ科多年草で、2月〜4月にかけて紫色の花を開きます(園芸化された品種は異なる色の場合がある)。

欧米では切り花などとしても用いられ園芸品種が作出されており、日本国内への帰化もしています。
栽培の具体的な方法は以下のとおりです。

1 基本的な性質
 ニオイスミレは冬の寒さには強いが、夏の高温が苦手で日当たりを好みます。
 開花時には強い芳香があり、かつては欧米で香水の原料にされていました。

 スミレ属の基本的な性質として、株の寿命が短いため、園芸品種を毎年維持・開花させるためには毎年挿し芽や株分けで若い苗を確保することが必要です。

 帰化しているような野性的なものであれば種子繁殖がおすすめです。

2 栽  培
 栽培用土は山野草として作るのであれば、一般的な山野草に準じます。
 本種は強健な性質を持つため、園芸品種はプランター用に販売されている土などで十分栽培できます。

 挿し芽で株を維持する場合は春先に挿し芽を行います。
 本葉4枚程度で節の下で切断し、清潔な水で水上げしてから山野草の用土やピートモスに挿します。

 挿し芽後は風の当たらない日陰で乾かさないように管理すると1か月前後で発根します。
 発根後はセルトレーなどの小鉢に移植しましょう。

 株分けは花後に行います。挿し芽より容易ですから気楽に作業してください。
 
 問題は夏越しです。梅雨前から、涼しい木陰や遮熱率の高い白色か銀色の寒冷紗下で管理することをおすすめします。
 9月下旬には移植を行います。

 鉢植えにしてフレーム内で管理すると秋遅くから開花させることが可能ですが、庭やプランターなどに定植して春の訪れを待つのもよいですね。

 肥料はやりすぎないようにしましょう。
 畑で菜っぱを作るわけではありませんので控えめにします。肥料過多では葉ばかり繁って花付きが悪くなります。

3 利用方法
 切り花、香水原料、フラワー酒(香りと色)など。