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質問7:
セツブンソウの栽培法について  1999年4月18日受付

回答7:

セツブンソウ(Shibateranthis pinnatifidaキンポウゲ科(Ranunculaceae)に属し、栽培はやや易しい部類に入るでしょう。
ただし、実生以外に繁殖方法がないため、長年栽培を続けることは案外むずかしいものです。

セツブンソウはスプリング・エフェメラル春植物とでも言いましょうか)の一員で、原則として石灰岩地帯の落葉樹林下を住みかとしています。

そして、春早くまだ木々が芽吹く前に展葉・開花を済ませ、木々の葉が萌えてくる頃に結実に向かい、すっかり新緑に覆われるころには種子を実らせ、葉を枯らして休眠してしまいます。

さて、セツブンソウを栽培するためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。

ライフサイクルを知る 夏は休眠 し、 9月過ぎ頃から地中で活動を開始 します。
夏の水やりを忘れないで。 水切れすると、その後の回復は極めて困難となります。

深鉢に植える
セツブンソウは案外深い場所に球根を形成します。そのため、深鉢を用いて深めに植え付けます。
 浅鉢に植えると、乾湿・温度変化が激しくセツブンソウの生育はむずかしくなります。

3 樹林下に自生しているが、展葉期〜落葉期は直射光が必要
 セツブンソウの展葉・開花期は、まだ木々の葉はほとんど開いていないので、落葉樹林下に自生していても陽性の植物です。

※セツブンソウ栽培の具体的な方法

鉢は大きめの深鉢(乾きにくいもの)とし、水はけ、水保ちのよい火山性の砂を2〜3種混合した培養土を用いる。
石灰岩の「れき」を混用しても良い。


肥培しないと花が少ないので、10月初めから落葉直前まで薄目の液肥を2週に1度程度与える。
植え替えは2〜3年毎に行い、9月中旬頃全ての培養土を交換して球根を表土下5p程度の位置に植え込む。

植え替え後直ちに灌水し、球根は絶対に乾かさない。その後も乾燥させないように適宜灌水を行う。
鉢は直射日光に当てず、温度変化の少ない状態を保つ。棚下等でも良いが、水やりを忘れがちになりやすい。

冬季は霜除けをして、乾燥した寒風に当てない地表に芽が出る2月から直射日光に十分当てる
開花・結実(成田市では3月上旬開花、4月結実)後落葉したら、再び日陰で管理する。

セツブンソウの増殖法

セツブンソウは実生で増殖します。
開花後、袋果が膨らんできますので、やや黄色味を帯びてきたら摘み採り日陰で乾燥させます。

しばらく乾燥させると、袋果の口が開き、茶褐色の直径2〜3o程度の種子が顔をのぞかせます。
種子はできるだけ早く播きましょう。保存するとどんどん発芽率が落ちていきます。

種子は成株と同様の鉢に播き、1p程度の覆土を行い、絶対乾燥させないように管理します。
翌年の2月〜3月に幅1p、長さ2p程度の楕円形の1枚の双葉(双子葉植物ですが双葉は1枚しかありません)を展開します。

最初の年は本葉を出さず、地中に小さな球根を形成するだけです。2年目には1枚の本葉を展開します。
そして、早ければ3年目以後に開花を始めます。開花までは植え替えをしないでください。小さな球根ですので見落としてしまいます。

なお、開花中は花に水をかけないように注意しましょう。花粉は水を吸うと破裂して死んでしまうため、種子がとれなくなります。
指先などに花粉をつけて、他の株の花に受粉するとよく種子が取れます。

セツブンソウの入手方法

セツブンソウは、種子繁殖されたものが専門業者から販売されているようです。
東京山草会の1999年版種子交換委員会の配布リストにはセツブンソウの記載がありました。

趣味の会に入り、種子を分けてもらうのが最も確実でしょう。絶対に自生地を荒らさないでくださいね。

みなさん いかがですか? 栽培できる気がしてきましたか?