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質問27:シクラメン・コウムの実生法について教えてください。 2000年3月受付


シクラメン・コウム Cyclamen coumはヨーロッパ東部を中心に分布するサクラソウ科 Primulaceae多年性の球根植物で、冬から春にかけて濃紅色〜白色の花が開きます。

本種は耐寒性があり、フラボン宅(千葉県成田市)でも屋外で越冬できます。
増殖は実生で行いますが、シクラメン・コウムの発芽率は一般に高い方であり、野生シクラメンの入門種としておすすめできます。

実生の具体的な方法は以下のとおりです。

1 播種時期
 播種は原則として採り播きとします。通常7〜9月がこの時期となります。
 これは、原則として野生シクラメンすべてに当てはまります。

2 播種容器
 乾燥しにくいプラ鉢、堅焼き鉢などがよいでしょう。

3 播種用土
 通気性と保水性がともによく、過度の肥料分を含んでいないものとします。
 通常の山野草の用土やバーミキュライトを加用したもので十分でしょう。

4 播種方法
 播種間隔は2〜3p、覆土は深さ5〜10o程度、さらに粗めの化粧砂を少しかぶせます。
 播種後はたっぷりと灌水させますが、用土が動かないように行います。

5 播種後の管理
 播種後は日陰に置き、絶対に乾燥させないように注意します。
 温度は自然に任せます。

6 発芽と幼苗の生育
 シクラメン属の発芽は一般的な種子植物と異なり子葉を展開しません。
 地下で発芽後、3〜4週間程度で地上に小さな本葉を展開してきます。
 小苗の移植は行いません。発芽床のまま1年〜1年半栽培して充分生育させます。

7 移植
 移植は9月に行います。できるだけ根を傷めないよう丁寧に移植します。
 移植の際、球根は5p程度の深さに埋めてください。

8 栽培の要点
 園芸種のシクラメンと異なり、夏期でも通常の灌水が必要です。
 夏期は遮光が必要です。